リーダーシップ教育の新たなパラダイムを切り拓く
大学院大学至善館は、世界にも他に例を見ない、独自のビジネススクールです。私たちが目指すのは、経営プロフェッショナルとして、変革と想像を牽引するスキルを持ち、かつ、人間性と社会性を兼ね備え、社会・世界に貢献せんとする次世代のリーダー(「全人格経営リーダー」と私たちは呼びます)を輩出すること、そして、それを通じて、豊穣で安寧な経済社会の実現に貢献することです。
世界・社会のあり方が歴史的なターニングポイントを迎え、企業やそのリーダーへの期待が変化する21世紀の今日において、20世紀に米国で生み出されたビジネススクールのあり方にパラダイム・シフトが必要になっている、と私たちは考えます。至善館は、伝統的なビジネススクールの教育アプローチを出発点としながらも、世界が直面する環境変化に真摯に向き合い、日本そしてアジアから、22世紀に向けた新しいリーダーシップ教育のあり方を提示し、パラダイム・シフトを牽引することに取り組んでいます。

全人格経営リーダーを育成する
本学の経営修士(専門職)課程は、私たちの経済システム更には人間社会が、大きな歴史の転換点に立っており、未来を拓く挑戦が求められているとの認識に基づき、構想されています。
右肩上がりの経済成長を前提とした大量生産・大量消費モデル。それを支えるピラミッド型の組織構造。そして、そのピラミッド型組織を担う、専門知識とアメとムチの管理手法を身につけた機能別スペシャリストや中間管理職たち。こうした20世紀型のビジネススクールが前提とする、ビジネス、経済、社会のあり方が、21世紀に入り、根底から揺らいでいます。
世界規模で噴出する異常気象、プラネタリーバウンダリーへの懸念、国連SDGs、ESG投資やインパクト投資に代表されるように、際限のない経済拡大に対する持続可能性への懸念は広く社会で共有されるようになりました。リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへのシフトは、少量カスタム生産・少量消費、さらには地産地消へと経済活動のあり方を根本的に塗り替え、環境問題への対応を超えた影響を社会に及ぼしつつあります。この中で、人々は地域において互いにつながり合い、自然と共生しながら、ウェルビーイングを実感できる未来を希求しつつあります。
生成AI、量子コンピューティング、ライフサイエンスなどを筆頭とする科学技術の急速な進展と、それがもたらすイノベーションも私たちの生活世界を急激に塗り替えています。価値創造の源泉が、知識や資源、市場を独占することや、規模の拡大による経済性を追求することから、未来を生み出す「創造性」と、リスクを取り未来に向けて挑戦する「起業家精神」へとシフトするなか、次代を担うリーダーに求められるものも、ポジションや肩書に頼り、アメとムチで組織を動かす管理能力から、共感と信頼をベースに人やチームを動かすリーダーシップ能力へとシフトしています。
さらに、大きな歴史の潮流と世界の動きに目を向けると、私たちの目の前に立ちはだかる大きな転換点が見えてきます。主権国家、民主主義、資本主義という、過去数世紀に渡って世界を牽引してきた経済社会システムが、グローバリゼーションの中での格差の拡大や共同体の崩壊、さらには国際緊張と地政学リスクの高まりの中で、軋みをたてています。同時に、この200年続いた西洋優位の世界は、21世紀以降の急速なアジア、とりわけ中国とインドの経済発展によって揺らいでいます。さらにアフリカなどのグローバルサウスは、20世紀のビジネススクールが前提とした、欧米中心のパラダイムを、今一度、問い直しています。
本学は、こうした歴史の転換点にあたって、独自の全人格経営リーダーシップ教育で、自らの意志で、自身のみならず、自分が所属する組織、さらには社会、そして世界の未来を切り拓かんとする人材を育成します。